忙しい毎日の味方!アレルギー対応の市販品・加工食品を賢く選ぶ活用術
食物アレルギーを持つお子さまの食事準備は、日々の献立考案から調理まで、多くの配慮が必要となることと存じます。特に共働きのご家庭では、忙しい時間の中で安心・安全な食事を提供し続けることは大きな課題です。そんな時、市販品や加工食品を上手に活用することは、保護者の方々の負担を軽減し、食卓を豊かにする有効な手段となります。
このコラムでは、食物アレルギー対応の市販品や加工食品を賢く選び、日々の食事に安心と美味しさ、そして時短をもたらす活用術をご紹介いたします。
アレルギー対応の市販品・加工食品を上手に活用するメリット
アレルギー対応の市販品や加工食品には、以下のようなメリットがあります。
- 時短効果: 調理の手間を省き、忙しい日でも短時間で食事が準備できます。
- レパートリーの拡大: 自宅では作りにくい料理や、普段使い慣れない食材を使った製品を取り入れることで、献立のバリエーションが広がります。
- 家族みんなで楽しめる: アレルギー対応品を軸に献立を立てることで、家族全員が同じメニューを囲む機会を増やせます。
- 外食・中食時の安心感: 市販品の情報に詳しくなることで、外食や中食を選ぶ際の判断基準が明確になります。
基本の心構え:アレルギー表示の徹底確認
市販品や加工食品を活用する上で最も重要なのは、アレルギー表示の徹底的な確認です。お子さまの安全を守るため、以下のポイントを常に意識してください。
1. 特定原材料7品目と特定原材料に準ずる21品目
食品表示法では、特にアレルギーを起こす頻度が高く、重篤な症状を引き起こす可能性のある「特定原材料7品目」と、アレルギー患者数が比較的多い、または重篤な症状を示す者がいる「特定原材料に準ずる21品目」が表示を義務付けられています。
- 特定原材料7品目: 卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに
- 特定原材料に準ずる21品目: アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
これらの表示は、原材料名欄の最後にまとめられていることが多いです。使用されている原材料の種類はもちろん、アレルギー表示の記載漏れがないか、毎回必ず確認しましょう。
2. コンタミネーション(交差汚染)表示の理解
「本品製造工場では、卵・乳成分を含む製品を生産しています。」といった注意喚起表示を見たことがあるかもしれません。これは、意図せず微量のアレルゲンが混入する可能性があることを示しています。コンタミネーションは、設備洗浄などにより混入を最大限防止する努力がされていますが、完全に防ぎきれない場合に表示されます。
お子さまのアレルギー症状の重さや、主治医からの指示に基づき、この表示のある製品の可否を慎重に判断してください。不安な場合は、メーカーに直接問い合わせることも有効な手段です。
賢い選び方と活用ヒント
具体的な市販品・加工食品の選び方と活用法を見ていきましょう。
調味料
日々の料理の味の決め手となる調味料は、アレルギー対応品を選ぶことで、多くの料理に応用できます。
- 醤油: 大豆・小麦不使用の米やアワを原料とした「アレルギー対応醤油風調味料」があります。
- 味噌: 大豆以外の米やひよこ豆などを原料とした味噌、または特定原材料不使用を謳う製品を選びましょう。
- だし: 昆布、かつお、干ししいたけなど、単一のだしを自分で取るのが最も安心です。市販の顆粒だしを選ぶ際は、特定原材料7品目不使用と明記されているか、原材料をよく確認してください。
- マヨネーズ: 卵不使用の「代替マヨネーズタイプ調味料」を活用できます。
加工食品
加工食品は、忙しい日の食卓を支える強い味方です。
- ハム・ソーセージ: 特定原材料不使用のハムやソーセージは増えています。つなぎに卵や乳、小麦が使われていないかを確認しましょう。
- レトルト食品・冷凍食品: アレルギー対応のレトルトカレーやシチュー、ミートボール、ハンバーグ、グラタンなど、多様な製品が登場しています。調理済みの食品は特に表示をしっかり確認してください。
- 缶詰: ツナ缶やコーン缶、水煮缶などは、原材料がシンプルで使いやすいものが多いです。調味液にアレルゲンが含まれていないかチェックしましょう。
活用アイデア: * アレルギー対応のホワイトソースミックスを使い、米粉パスタとアレルギー対応の鶏肉、野菜でグラタンを作る。 * 特定原材料不使用のレトルトカレーを、米飯だけでなく、アレルギー対応のパンと一緒に提供する。 * アレルギー対応のツナ缶は、野菜と和えてサラダにしたり、米粉パンに挟んでサンドイッチにしたりと、様々なアレンジが可能です。
パン・麺類・菓子類
主食やおやつも、アレルギー対応品が豊富です。
- パン: 米粉パンや大豆粉パンなど、小麦不使用のパンがあります。乳製品や卵も不使用の製品を選びましょう。
- 麺類: 米粉麺、ひえ麺、あわ麺など、小麦以外の穀物を使った麺類を活用しましょう。
- 菓子類: アレルギー対応のクッキー、ケーキミックス、チョコレートなどが増えています。おやつは日々の楽しみでもあるため、安心できるものを選んでください。
活用アイデア: * 米粉麺は、アレルギー対応の醤油ベースのたれや、だしで和えて、シンプルな和え麺として提供できます。 * アレルギー対応のホットケーキミックスを使えば、お子さまと一緒に楽しみながらおやつ作りができます。
市販品活用における注意点
- 新しい製品を試す際は少量から: 初めて与える市販品は、少量から試して様子を見ることが大切です。
- 原材料表示は常に最新のものを確認: 製品のリニューアル等で原材料が変わることがあります。購入の都度、表示を確認する習慣をつけましょう。
- メーカーへの問い合わせも有効: 表示だけでは判断が難しい場合や、より詳しい情報を知りたい場合は、ためらわずにメーカーのお客様相談室に問い合わせてみましょう。
家族みんなで安心・美味しい食卓を
市販品や加工食品を賢く活用することは、食物アレルギーを持つお子さまの食卓を豊かにし、保護者の方の負担を軽減する大切な方法です。完璧を目指すのではなく、日々の生活の中で無理なく続けられる方法を見つけることが重要です。
アレルギー対応食と通常食の同時調理に悩むことも多いかもしれません。アレルギー対応の市販品を積極的に取り入れることで、料理の手間を減らし、お子さまも大人も一緒に美味しい時間を過ごせるようになるでしょう。
お子さまの健康と安全が最優先ですが、時には自分自身を労わることも大切です。もし不安なことや疑問なことがあれば、専門医や管理栄養士に相談し、適切なアドバイスを得てください。私たちが提供する情報が、皆さまの毎日を少しでも楽に、そして豊かにする一助となれば幸いです。